出版社内容情報
激動の街を生きる15歳と歩んだ3年の記録
香港デモの現場で著者が出会った15歳の少年・ハオロン。
過激なデモに参加し、母親とは不仲の少年は、普段は釣りをするだけの怠惰な日々を過ごしていた。
普通の少年に見える彼は、なぜ過激なデモへの参加も厭わないのか。少年とともに行動して見えた、報道からこぼれ落ちる香港の姿と、少年の未来とは。
19年の民主化デモから、20年の国家安全維持法を経て、少年の目線を通して激動の香港社会を見つめたルポルタージュ。
●●星野博美さん、激賞!●●
正義とズルさと嘘が入りまじった愛すべき少年は、
寛容さを失った街でどこへゆく?
(ノンフィクション作家、『転がる香港に苔は生えない』著者)
内容説明
過激なデモに参加し母親とは不仲の少年は、普段は釣りをするだけの怠惰な日々を過ごしていた。ともに行動して見えた、報道からこぼれ落ちる「香港と少年の未来」―。
著者等紹介
西谷格[ニシタニタダス]
1981年、神奈川県生まれ。ライター。早稲田大学社会科学部卒。地方紙『新潟日報』の記者を経て、フリーランスとして活動。2009年に上海に移住、2015年まで現地から中国の現状をレポートした(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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starbro
188
図書館の新刊コーナーで見つけて読みました。西谷 格、初読です。香港の今のリアル、少年を通してこそ、真実が見えるのかも知れません。最近香港のデモ等のニュースは流れません。中国当局の弾圧&封じ込めで、自由な香港は死んでしまったのでしょうか❓ https://www.shogakukan.co.jp/books/093888902023/01/24
アキ
102
15歳のハオロンを通じて見える香港。2019年香港デモは日本でも大きく報道されて民主化を支持する気運が盛り上がり、デモ参加者は暴力行為をエスカレートさせていった。2020年コロナ禍のなかデモ禁止となり、国家安全維持法で民主派たちは悉く処罰されていった。2021年17歳のハオロンはヤンキーっぽい青年に成長していた。中国への反発を口にしていた少年は以前デモで逮捕されたことから今でも施設で生活する。国安法で秩序を保つ香港は、もう流転をしてきた社会ではない。それでもここで生きていく。あのデモとは何であったのか?2022/12/30
ちゃま坊
21
次の戦争は中国の台湾侵攻だろうというウワサ。でも中国だって戦争しないで統一したいだろう。香港のように。2019年香港デモに参加した人たちがどうなったか、たぶん台湾人は気にしている。支配されたら、自由と人権が弾圧されるのじゃないか。反骨する青年たちとあきらめ気分の大人たちの対比がときどき垣間見える。コロナ禍が間にあったが、逮捕された香港少年は解放され、政府の監視下にある。そして連絡は途絶えた。今どうなっているのか。2024/01/18
DEE
10
香港のデモの取材中に偶然知り合った15歳の少年。彼と行動を共にすることで、外からは見えにくい当事者たちの目線から追ったルポ。デモの趣旨に大賛成する人、大反対する人。マスコミが取り上げるのは分かりやすいそれら両極にいる人たち。でも多くの人はその中間で、時にどちらかに振れながら日々の生活を送っている。そういう表には出てこない態度ってわりと大事だと思う。2023/03/17
ののまる
8
理工大にいた15歳か… 確かにデモの中にはこういう少年もいただろう。少年への記者としての?執着度のやりとりが元カノみたいだなあ、と時々うろたえる…2024/01/15