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老後の貯蓄はいくら必要?老後貯蓄がない人がいますぐやるべきこと
槻谷岳大T.Tsukitani
1:老後の貯金がない…
金融庁の発表や、その後の大臣の発言などを聞いて、「2,000万円も貯金するなんて、ムリムリムリ!」と思った人も多いのではないでしょうか。
「GMOあおぞらネット銀行株式会社」が20歳~49歳のビジネスパーソンに行った調査によると「老後の生活資金として2,000万円貯められると思うか?」という質問に対して、66.6%の人が「貯められない」と回答したそうです。
実際に2,000万円は高いハードルといってよいでしょう。
2:老後に貯蓄はいくら必要?シミュレーション方法
(1)2,000万円の算出方法
そもそもこの2,000万円という額は、どのように算出されたものなのでしょうか?
金融庁が先に発表した報告「高齢社会における資産形成・管理」は、これからの人生100年時代を見据えた資産形成を促すものでした。
ここでは、総務省「家計調査」(2017年)における高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上)の平均をベースとして、65歳の高齢夫婦(無職世帯)の2018年の平均支出・収入を比べています。
それを見てみると、支出が月額約26.4万円(家賃・光熱費・食費・医療費など)に対して、公的年金を中心とする収入が約20.9万円とのことで、毎月5.5万円の赤字になります。
これが100歳までの35年間積みあがった結果(5.5×12か月×35年=2,310)として、約2,000万円が不足するという計算なのです。
(2)あなたの老後はいくら必要?シミュレーション
上の試算は無職の夫婦世帯のものであり、当然それぞれのライフスタイルによってかかるお金は異なってきます。
例えば同じ65歳無職でも、単身世帯の場合には、毎月の平均支出は15.5万円で、収入(公的年金など)は10.7万円(ともに2017年度調査)で、その赤字額は、月額4.8万円となります。
もちろん、これらは平均額の調査結果であり、生活に必要なお金は人それぞれ。しかし、「人生100年時代」を迎えるにあたり、無関心ではいられないでしょう。
3:老後資金を貯められない人の特徴
貯金というのは収入が高ければ必ずできるというものではありません。年収500万円でもしっかり貯金できる人もいれば、年収2,000万円でも全く貯金ができていない人もいます。この違いはいったい何なのでしょうか。
(1)見栄っ張り
必要でもないのに高価なブランド品ばかりを購入したり、家計のバランスを考慮せずにお金を使ったりなど、見た目を気にして浪費に歯止めがかからないような人は、傍目には裕福でも、実は家計が火の車ということもあります。
(2)計画性がない
「いつまでに」「何の目的で」「いくら」など、貯金に対して計画や目標をたて実行することができない人は、その場その場で支出がつのるばかりで、一向にお金を貯めることができないでしょう。
(3)どうにかなると思っている
要するに楽観主義のことです。「今は楽しむけれどいつかは引き締める」と考えている人ほど、浪費癖が治らずに、将来の老後破産のリスクを高めることになりがちです。
当然のことながら、「収入-支出=貯金」です。収入からある分だけ使って残りは貯金、というやり方では、一向に貯蓄はできません。
4:老後のための貯蓄がない…今すぐやるべきこと
(1)結婚や出産など、人生設計の必要額を計算・計画する
現在、20代や30代であれば、これから人生のターニングポイントとなるべきイベンドが控えている可能性があります。具体的には結婚や出産になりますが、その単体でもお金のかかるものですし、その後の人生に大きな影響を与えるものでもあります。
まずはその見通しや計画をしっかりと立てましょう。
(2)明確な貯蓄の将来設計を立てる
「いついつまでに、いくらを貯める」といった明確な目標をまずは立てて、それを確実に実行していきましょう。目標に向けて実行していく習慣づけをすることで、将来に向かって不要な浪費を防止することに繋がります。
(3)ライフスタイルを見直す
自分の今の生活で、少しでも支出を抑えられる部分がないか、今一度見直してみましょう。意外にコスト削減できるところはあるものです。
例えば食費。外食を少なくして家の冷蔵庫にある物を使い切ることを心掛けるだけでも変わります。また、スマホを格安SIMのものに替えるとか、車に乗る頻度が少ないならば、必要なときだけレンタカーにするとか……。
ゲーム感覚で細かい消費を削っていき、お小遣いを捻出するのは楽しいものですよ。
(4)自動的に貯まるしくみを作る
預貯金であれば定期積立、投資・運用であれば銀行自動引落としの投信積立や確定拠出年金など、自動的にお金が貯まるしくみを作りましょう。強制的に支出を引き締めることにも繋がり、お金が貯まる基盤となります。今すぐに実行しましょう。
5:まとめ
ご紹介したとおり、「老後資金2,000万円問題」は、一定の基準で算出されたものであって、すべての人に当てはまるものではありません。しかし、将来の設計を立て、自分に合った老後資産の設計をしていくことは、誰にとっても重要なことです。
自分にとって豊かな老後が送れる貯蓄のプランを、一度考えてみてはいかがでしょうか。
【参考】