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自制心がないって問題?自制心がない人の特徴と心の鍛え方を心理学者が教えます!

平松隆円

平松隆円R.Hiramatsu

目次

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1:自制心の意味は?英語で言うと?

(1)自制心の意味は?

さて、まずは自制心の意味について、辞書で確認しておきましょう。

じ‐せい【自制】

[名](スル)自分の感情や欲望を抑えること。「自制しがたい恋情」「自制心」

出典:デジタル大辞泉(小学館)

生きていると、何かと我慢しないといけないシチュエーションは多いもの。腹が立っても、グッとこらえて我慢しないといけないときもありますし、彼氏と一緒のときにイチャイチャしたいなと思っても、時と場所によっては我慢しないといけません。そういう、自分の気持ちや欲求を抑えることを自制というわけです。

自制心という言葉は、けっこう古くから使われていて、江戸時代(18世紀後期)に書かれた随筆『蘐園雑話』に「五色の墨も自制して用ひられしとなり」と登場しています。

(2)自制心を英語で言うと?

もし、自制心を英語でいうとしたら、一般的には「Self control」という言葉が使われています。つまり、自分で自分を制御(=コントロール)することなんですね。

ほかにも、「Self discipline」とか「Self restraint」にも使われることがあります。「discipline」とは「しつけ」という意味ですし、「restraint」は「拘束」とか「抑制」という意味です。

心理学の研究論文などを見ていると、専門的には「Self control」か「Self discipline」が使われることが多いかもしれません。

 

2:自制心がない人の特徴と問題点

自制心がないことは、古くから人々の関心事のひとつでした。古代ギリシアの哲学者アリストテレスも『ニコマコス倫理学』という本の中で「アクラシア論」というのを書いています。アクラシアとは、ギリシャ語で「自制心がないこと」を意味します。

アリストテレスは、自制心がない人の特徴を、哲学的に「欲望にしたがってしまう人」と「欲望に負けてしまう人」という2種類に分類しました。これはこれで、言われてみればそうだと納得できますね。もう少し具体的に考えていきたいと思います。

(1)将来よりも現在に重点を置いている

例えば、あなたは宝くじで1千万円が当たりました。今、当選金を全額もらうと1千万円ですが、10年間で分割してもらうようにすると、毎年110万円もらえます。さぁ、あなたはどうしますか?

これ、アメリカではよくある話。宝くじの当選金やプロスポーツ選手が年俸を分割してもらうと利息が上乗せされるというのを、ニュースで見たことがある人もいるでしょう。

分割してもらったほうが、もらえる合計金額は増えてお得です。ここで、自制心が関係してくるんです。自制心がある人は、将来も考えてどうするべきがいいかを考えます。ですが、自制心がない人は、目の前のこと(=現在)が我慢ができないため、今全額をもらおうとします。

自制心は、物事の考え方が現在志向なのか、それとも未来志向なのかにも影響するんです。

宝くじの話でいえば、今、全額をもらうことは悪いことではありません。しかし、もらえる総額が少ないということでいえば、今全額もらうということは結果的に損をすることになります。自制心がない人は、結果的に自分が損をする行動をしてしまいがちなんです。

(2)ストレスに弱い

実は、自制心はストレスに影響されるということが研究によってわかっています。脳の動きとして、人はストレスを感じると、感情や衝動を抑制している前頭前野の支配力が弱まります。すると、視床下部の影響が強くなり、不安を感じたり、普段は抑え込んでいる欲望にまかせた暴飲暴食や、お金の浪費などに走ってしまうのです。

確かに、何かイヤなことがあると「ストレス発散だ!」と言って、お酒を飲みに行ったり、食べ放題にいったりする人、いますよね。

ストレス発散で暴飲暴食をしたり、お金の浪費をしたりするのがときどきならいいのですが、慢性的に強いストレスを感じていて、いつも自制心がないような状態なら問題です。ストレスが不安障害などを招くことが知られていますので、自制心がない人にも、その危険性は十分に考えられます。

 

3:自制心が弱い人必読!自制心の鍛え方

では、自制心がない人は、どうすれば自制心を持つことができるのでしょうか。

(1)我慢した直後にご褒美を用意する

 

夏までにダイエットをしたいという目標は、多くの女子たちが立てますが、それが達成されるのはだいぶん先のこと。今日目標を立てて、3日後に成功するということはありません。自制心のない人は、今、楽しいことがあるのに将来どうなるかわからない目標の実現のために、長い苦痛が我慢できないのです。

この場合、何かを我慢したらすぐにいいことが起こるような仕組みを作ってみましょう。

例えば、食べ放題に誘われて行ったとしても、腹八分で我慢できたら、その日はエステに行っていいとか。すぐに手に入れられるとご褒美を用意しておくと、自制心のない人でも、なんとか我慢できるものです。

それに慣れていけば、次第に自制心が身につくでしょう。

(2)誘惑されない仕掛けを作る

人は誰でも、自制心がないという前提に立ってみましょう。例えば、「明日は6時に起きてジョギングに行くぞ!」と決心してベットに入ったとします。目覚まし時計が6時になっても、「あと5分だけ2度寝してから起きよう」といったように、結局起きられなかった経験は誰にでもあるでしょう。そんな経験のある人は、立ち上がらないと止められないような場所に目覚まし時計を置いてみましょう。

人は誰でも誘惑に負けやすいと考えれば、そもそも誘惑されないようにするのがいちばんです。ダイエットをしたい人なら、そもそも食べ放題の場所に近づかない。飲んで泥酔してしまうなら飲み屋に行かない。それが、いちばんなんです。

 

4:まとめ

アリストテレスが言った「欲望にしたがってしまう人」は、欲望を我慢すれば、その欲望を我慢した直後にご褒美があるような状態を、「欲望に負けてしまう人」は欲望に誘惑されない仕掛けを作ることで、自制心のなさを解決できるわけです。昔から、みんな自制心がないことで、悩んできたということなんでしょうね。